今年4月1日に電力小売発送電分離が達成され、ようやく自由化の総仕上げの段階になりました。
いろいろとマスコミ報道等で喧伝されましたが、田舎のお客様や新電力代理店には大きな意味が有ります。
それは、「購買圧力」という大きな支配からの解放です。
電力自由化後のの20年以上前から、電力需要家のお客様は、経営改善に電力自由化を活用できませんでした。
それは、地元電力会社に買って頂いているモノ・サービスが、切り替えに対する購買圧力で無くなる恐れが有ったからです。
例えば、
ホテル・旅館・割烹 : 忘新年会・パーティーが沢山
運送・倉庫会社 : トランスその他沢山の備蓄・運搬
建設・土木・産廃 : 工事やそれに伴うモノ
病院 : 健康診断が沢山
銀行 : 最大融資先
JA・不動産 : 転勤族のアパート
コンクリート製造 : 電信柱
電気工事・保安協会 : 仕事そのもの
上げていけばきりが有りません。
これでは、江戸時代の悪代官と越後屋さんの関係です。
高い電気を買うかわりに、仕事を貰える・・・・平成時代で終了です。
関電さんの事件の例は見るまでも無いでしょう?
ボーリング場などは、「ボーリング大会を社内で開くから新電力に切り替えないでくれ!」と地元電力に説得されたらしいですから、あきれてものが言えません。
弊社もつい最近の旅館・酒造会社の引き合いで、「親戚が地元電力会社に居る」ということで断られました。
この空前の武漢ウイルス不況の中で、どれくらい宿泊・宴会・お酒を彼らが消費してくれるのでしょうか?
当然ながら国も、そのようなことは以前からわかっていましたから、「適正電力取引指針」に、
物品購入・役務取引の停止
区域において一般電気事業者であった小売電気事業者が、物品・役務について
継続的な取引関係にある事業者に対して、他の小売電気事業者から電気の小売供給を
受け、又は他の小売電気事業者に対して余剰電力を卸供給するならば、当該物品
の購入や役務の取引を打ち切る若しくは打切りを示唆すること又は購入数量等
を削減する若しくはそのような削減を示唆することは、当該者が他の小売電気事
業者との取引を断念せざるを得なくさせるおそれがあることから、独占禁止法上
違法となるおそれがある(私的独占、排他条件付取引等)。
と規定して、違反すれば独禁法で地元電力を摘発する体勢でいました。
しかしながら、「仕事を減らされた」ことを証明するのは難しく、泣く泣く新電力の良い提案を棚上げにした経営者は沢山いらっしゃいました。
そこで、今回の分離制度です。
実は、地域を支配しているのは主に送配電会社であり、人員も多く、エリアも広いです。
例えば、地元旧一般電気事業者は、12000人の従業員ですが、送配電会社は7500人でその他が4500人です。購買規模も、それ以上に比例します。
送配電会社からずれば、自社関連小売り会社はイチ取引先に過ぎず、「えこひいき」はそれこそ罰則の対象になってしまいます。
地元電力の応援団?の電気工事会社や保安協会は、電力自由化を様々に経営者に干渉して妨害してきましたが、もうその心配は有りません。
彼らのほとんどは、送配電会社から仕事を貰っているのです。
ですから、電力契約先を切り替えるときに、アドバイスを聞いてみて下さい。
「小売り会社は沢山有るから、自由に選んでください!」と答えるでしょう。
「送配電会社の関連会社から買ってください?」なんて、お願いできるでしょうか?
先ほど、新電力の提案を断った、旅館や酒造会社の親戚の方もよく確認下さい。
その方は、送配電会社所属ではないですか?
後は、まだ自由化の足かせになっている、小売り会社と発電会社の完全分離に期待ですが、それはまだ先でしょうね?
発電会社さん、自社関連小売り会社に不当に安く電気を卸したら罰則ですからね。
まあ、まともな法的分離された会社なら、黒字を目指して頑張るのがビジネスでしょうが?