「岐阜市議会 一般質問 内規違反の疑い指摘 中電と市、「随意契約」」というニュースが3月に出てきました。
http://mainichi.jp/articles/20170314/ddl/k21/010/065000c
これ、解説しますと
「小さい割引率で全ての施設の電力契約を3年の長期契約したのは問題ではないですか?個別に単年度契約でも入札すればもっと安くなりますよ?」
ということです。
議員さんの指摘が正しく、市は電力業界を勉強していないか指摘の通り地元電力会社に丸め込まれています。
3年も縛られれば10%値引きくらいサービスすべきですし、今の業界なら出来ます。
岐阜市出身の方、怒ってください。
電力自由化で出来た「長期割引」というサービスですが、古くは2004年には各地域の一般電力会社が裏メニューとして開発し、新電力の攻勢にそなえて提案を始めたようです。
簡単に言えば「3年間新電力に切り換えなければ3%基本料金を下げますよ」というもので、5年だと5%が主流でした。
基本料金割引が主なので全体では1%も値段が下がっていないのですが、当時の需要家は「何もしていないのに提案してきたから喜んでハンコを押して契約した」という方が多かったです。
単純に電力自由化の圧力なのですが、「長期契約」とあるので、新電力に対抗したものという説明はありませんでした。
ですから後で新電力が見積もりできますよと聞いた時に「あ~あ、比べれば良かった!後2年待って下さい・・・」となる方大勢でした。
そうして多くの大企業や地域の名士たる企業は「囲い込み」を受けたのですが、当然ながら中小企業には提案はありません。
それを当社から聞いたとあるスーパーの社長さんが「うちもいっぱい電気使っているから提案されてしかるべきではないか?」と一般電力会社に電話したら「当社にはそのようなメニューは御座いませんが・・・?」と返されたのは今は昔です。
当社の感覚では、年間電気料金1億円以上の法人が提案を受けている場合が多かったですが、最近はハードルが下がってきました。
東日本大震災後は、値上げをせざるを得ない一般電力会社は長期割引の提案や更新を控えて、一時期は結構減ったものです。
ところで、完全自由化された電力業界ですが、事業者も増え多様で安い提案が沢山出て来れば長期割引は絶滅するのでしょうか?
そんなことはありません。ちゃんとニュースにあるように自治体・民間にどんどん提案されています。
別に旧一般電力会社では無くても、新電力も1年契約ごとにお客様に逃げられるのが嫌で、複数年割引提示をしています。
すごいのは某県庁の本庁舎が長期割引にどっぷり漬かってしまい、電力入札が全県で出来ない県が有るという情報です。
役人は常に上位下達主義ですから、県本庁舎が入札しなければ、他は一切できません・・・。
旨いというか巧妙すぎる営業です。
では何が問題なのですか?
簡単に言えば、地元旧一般電力会社の長期割引に入ってしまえばあとは3~5年、入札や見積合わせ、調達を考えずに「電力自由化を活用しました」と言っていれば良いだけという安易な考えの蔓延です。
長いものには巻かれろです!
しかも旧一般電力会社なら与信も安心ですから、責任問題も有りません。
ところが役所ならまだしも、民間企業特に地域の大企業がそれにはまってしまうことが情けないです。
個別に見積もりを取ったり、新電力の与信調査をしたり・・・・そんなに面倒な作業でしょうか?
通常の調達課・総務課・財務課さんは、つねに購入や新規取引に関してのものはそのようにしているはずです。
しかも旧一般電力会社の長期契約は、多くが「包括+継続」が条件です。
ですから、全ての拠点(子会社も?)を入れて契約しなければなりませんし、契約が更新されず期限が切れたら再継続出来ないというものです。それって脅迫ですか?・・・まあ考え方によってはうまい営業手法です。
そのため、電力契約担当者は常に3~5年の契約管理を強いられ、更新前に新電力から見積もりを取るか、どちらが安いか?包括が安いか?一部だけでも切り替えるか・・・で悩んだりしています。
それって電力自由化ですか?
まあ自由なんでしょうけども、勉強していないこと無かれ主義の「仕事を増やしたくない」需要家さんは逃げ込むんでしょうね・・・・