電力完全自由化で注目されたスマートメーターですが、皆さんは設置してあるのを目撃されましたか?
スマートメーターの定義が「デジタルでデータを処理している」ということならば、ほぼ全国の高圧・特別高圧受電の電力メーターはスマートメーター化されています。
ですから、現在騒ぎになっている低圧需要家用のスマートメーター交換が間に合わないということは、高圧以上の需要家には無いことになります。
ここで、新電力(電力供給先)に切り換えるときのスマートメーターについて、再確認しましょう。
よく新電力の営業マンが「契約変更だから工事も無く無償で無停電で切り換えられます」という説明をする方が居ますが、本当でしょうか?
ご存知のように、新電力に切り換えると検針員さんは来なくなります。
ここで、需要家の電力需要に合わせて新電力は±3%以内に発電しなければならない(インバランスの一致)なので、メーター検針が30分デマンドデータとして必要です。
そこで、スマートメーターに一般電力の負担(無償)でメーターに携帯端末を付ける工事を行います。
携帯の電波が届きにくいところは有線(電話線)工事を行います。~絵図参照
このデータを新電力に飛ばしてインバランスを取ることになります。
通信費がかかりますから、電力自由化は通信業界には恩恵が大きかったはずです。
ですから「契約変更だから工事無しで切り換えられます」という説明は間違っています。
また、工事は一般電力が需要家の主任技術者に連絡して立ち会ってもらって工事しますが、主任技術者が外部委託・民間法人で別途立会費がかかる場合は需要家(お客様)負担の有償となります。
ですから「完全に無償です」も間違っています。
まあ、優秀な主任技術者ならば月次点検を同時に行って無償化する場合が多いのですが、よく打合せしましょう。
また、この工事の前に一般電力さんの都合「携帯端末が繋げないスマートメータ?だから」「10年更新が近いから」で「メーター本体とVCT(変成器)を一度に交換したいので停電させて下さい!」ということがあります。
ですから停電が絶対に無いわけではありません。
これは50~100件に一回の割合で起こりますが、1年に一回の年次点検でもないのに停電は嫌ですよね?
そこで停電は拒否できますし、お客様が停電工事を拒否した場合は、しかたなく一般電力が検針を代行します。
検針代行は1カ月に一度のデータになりますが、それを一般電力と新電力で調整してインバランスしたとして清算するらしいです。~それがこの絵図にある「暫定接続供給」と思われます。
ですから、切り替えにはメーター確認、携帯端末の手配、工事手配、立会い、などの様々な段取りが必要なため、スイッチングの書類手続き以外にも切り替えには時間がかかるのです。
全量供給で1~2か月、部分供給で2~3カ月・・・でしょうか?
そのような中で、国機関・自治体・公共機関が4月1日切替の電力入札をするときに、2~3月の入札繁忙期に実施すると混乱が生じるのはそのためです。彼らは件数も多いので、手配する一般電力さんも大変です。ですから、入開札は1月までに終わらせるべきで、民間もこの時期は避けるべきです。
中にはギリギリまで開札が出来なくて「何日前に入開札すれば間に合うのか?」と一般電力さんに問い合わせる自治体も有るらしいですが、6週間が最短でそれ以上は文書として正式回答は来ません。
それと、いくら無償とはいえ、一般電力会社がここまで段取り・工事したものですから、新電力の場合と同じく一年以内に切り換え解約(新電力を止めて一般電力に戻る)すると違約金が発生する地域が有ります。
ですから「1年以内解約の違約金無し!」というキャンペーンを新電力が行っても、違約金の請求が有る!という可能性もあります。
中には、申し込みをして新電力に切り換わる前にお客様の都合でキャンセルした場合、メーター端末設置工事が終わってしまっているとキャンセル料が発生する場合が有ります。
そこら辺りは注意しましょう。
というわけで、新電力の代理店ながら一般電力さんの都合を代弁し、お客様のトラブルを避ける情報展開をいたしました・・・※一般電力会社の皆様、相違点が有りましたらご指摘ください。
ちなみに契約電力500kw以上の需要家様は、別な扱いにまります。
それは次回に。